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北朝鮮の非核化・平壌市民はこう考える

ニュースリリース|北朝鮮 Live!| 2018年09月15日(土)

 建国70周年の記念行事を終えた北朝鮮。9月9日の建国記念日を前後して、2回目の米朝首脳会談が開催される可能性も出てきた。2018年6月12日に行われた初の米朝首脳会談では、非核化を進めることで合意している。だが、この非核化については会談以降、膠着状態に陥っている。

 現段階では、米国は北朝鮮に対し「完全で検証可能、かつ不可逆的な核兵器」、いわゆる「CVID」を要求しているとされている。一方、北朝鮮は非核化に応じるが、朝鮮戦争党の停戦協定から終戦協定、さらには平和協定が結ばなければ非核化はありえない、と主張しているとされている。

 ここで、平壌市民は非核化や終戦宣言についてどう考えているのか。代表的な平壌市民で、同市中区域リュソン洞に住むリ・ヨンソクさん(50)は次のように話す。(8月下旬の取材)

―いま朝米関係において平壌市民が話題にすることは何か。

リ:8月9日に朝鮮民主主義人民共和国外務省報道官談話が、そして18日には「労働新聞」の論評が発表された。市民らの話題も、当然、終戦宣言に関する問題となる。いわゆる「世界的会談」と呼ばれる6月12日に朝米首脳会談では、朝米首脳らが世界の前で行った約束に対する米国の意志を疑う平壌市民が徐々に増えている。それに対する共和国(=北朝鮮)政府の立場だと思う。
 

―北朝鮮がとっている行動は知っているか。

リ:核実験と大陸間弾頭ロケット実験・発射はすでに2017年末から重視しており、今年5月には核実験場を廃棄した。
 

―今年7月初旬に行われた、最初の米朝高位級会談をどう見ているか。

リ:6月12日の米朝首脳会談以降、初めての高位級会談において、米国は一方的な「先非核化」に固執した。個人的な考えを言えば、まるで第二次世界大戦後の戦勝国がドイツやイタリアをはじめとする敗戦国に武装解除と賠償金を要求したことを思い起こさせるものだった。
 

―7月27日には米軍の遺骨が返還されたが。

リ:朝米首脳会談で発表された共同声明を履行することにおいて不信を払拭し、信頼づくりを行うことがまず優先的に行われるべきだと考え、米軍の遺骨を送還する措置が撮られたものだと思う。


―しかし、米国内では北朝鮮に対する不信論、懐疑論が徐々に拡散している。

リ:情報機関が捏造した虚偽資料に基づき、NBCやWSJをはじめとするメディアは「米朝会談以降にも朝鮮が核、ミサイルの開発を続けている」といったフェイクニュースを流布させている。これにトランプ大統領の側近らと日本をはじめとする追従国家、さらには国際機関も加わっている。

 世界の多くのメディアと公正な政治家、情勢分析家は、共同声明の履行するためのわれわれの善意的な措置に対する理解と、これに逆行する米国の反トランプ主義者らの相反する行動に憂慮を示している。「米国は北朝鮮をだましている」「罠に落ちた米国が朝鮮の体制変化を願っている」というのが、メディアの評価だ。


―米朝交渉が膠着状態に陥っているが、これを解消し、共同声明を履行するために何がまず必要だと考えるか。

リ:米朝間には70年の対決と不信の歴史がある。共同声明を履行するためには、互いの信頼を積み上げることがまず必要だ。終戦宣言の採択は歴史的な朝米、北南首脳会談を通じて協議し、内外に公表した問題だ。米朝首脳会談の共同声明を誠実に履行しようとすることは、われわれの確固たる意志だ。


―米国に言いたいことは何か。

リ:米国は過去の偏見と慣行から抜け出すべきであり、それに相応する行動を行うべきだ。米国が終戦宣言の採択など段階的、同時的な行動措置を通じて相互信頼を実践して行動を見せないかぎり、非核化の問題において今以上の進展を期待することはできないだろう。
(以上、インタビュー終わり)

 北朝鮮市民の見解は、ほぼ北朝鮮当局と同じ見解だと見なされる。現在では、トランプ大統領と金正恩・朝鮮労働党委員長の間は、書簡を通じての反応を見る限り、互いによい状態だとも言える。一方で、北朝鮮は非核化へのロードマップをきちんと用意し、その内容は米国が受け入れられるものかどうか、という段階にあるという指摘もある。いずれにしろ、交渉は妥協が必要だ。両国とも、現段階での一方的な要求から互いに受け入れられるものにまで交渉ができるか。交渉こそ、大事だ。




  • リ・ヨンソクさん

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