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日朝間でかすむ日本人遺骨問題―北朝鮮の専門家に聞く

ニュースリリース|北朝鮮 Live!| 2018年04月02日(月)

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 北朝鮮と言えば、核開発とミサイルに関する問題で一色だが、人道的な問題が日朝関係に横たわる。
 これまで北朝鮮に残された日本人墓地に関する研究を続けてきた、北朝鮮の朝鮮社会科学院歴史研究所の元所長で、日本研究所上級研究員である曺喜勝教授は2018年1月、平壌で「北朝鮮分析」とのインタビューに答え、同国における日本研究の状況や日本人墓地など人道問題について語った。

―日本研究所が設立された狙いは何か。

曺喜勝教授:2016 年11 月24 日に設立された。設立に関しては、どの国にでも特定国を研究する機関があることと同じことで、日本に関することを研究する、という意思の表れだ。現に、米国研究所もある。だから当然、日本研究所もある、ということだ。

―日本研究所ではどのような研究がなされているのか。

:たとえばなぜ朝鮮を植民地にしたのかといった具体的テーマを設定し研究する人もいれば、私(曺喜勝教授)のように日朝の歴史関係を研究する人もいる。だが、朝鮮内では日本に対して「知る必要がない」と考える人が多くなってきたのは事実だ。わが国の外国語大学でも、日本語は以前は一つの学部だったのに、今では単なる講座になっている。学生数
が少ないためだ。とはいえ、日本に関心を持って研究を深める必要はある。日本研究所には、日本に対して関心がある人、たとえば学者やメディアなどの人も日本研究所で発表できる。政治だけでなく、文化や経済、貿易などの分野でも日本通が必要だ。

―曺教授は、北朝鮮国内に残る遺骨問題の研究で日本でも知られている。

:これまでやってきた遺骨問題だが、「カネを受け取るため」という意見が日本から聞こえてくるのは非常に残念だ。人道主義は政治を超えるべきで、カネのことなどはまったく考えていないことを明言しておく。

 現在、国内各地で再開発などが行われており、その過程で日本人のものと思われる遺骨が出てきている。遺骨が出てくると、そのまま放っておくことができるだろうか。日本の外務省は2014 年、遺骨問題で訪朝してきた時「日本の墓かどうかはわからない」と言い放ったことを覚えている。「まだそんなことを言っているのか」と正直、腹が立った。こちらは日朝の人道的問題を包括的に話していたつもりだった。後で、「拉致問題をどうしても先行させたかった」からという日本の報道を聞いた。

―遺骨問題について、現在はどうとらえているか。

:人道的問題は必ず解決させなければならない。まず、関係者が高齢化していること。地元の人々がいち早い解決を望んでいること。遺族のことを考えると、外国人の骨を勝手に捨てることはできないと考えている人ばかりなのが実状だ。

―日朝関係が厳しく、遺骨問題も進まずにいるようだが。

:問題解決には、まず日本が決断すればよいことだ。決断すれば、こちらはなんでも協力する。いま朝鮮では「日本人は信義がない」と思われている。朝鮮の人だけでなく、(遺骨として眠っている)同じ日本人に対しても信義がないのか、ということだ。こう思われては、今後日本を学ぼう、関心を持とうとする人はますます減ってくる。

―北朝鮮国内に住む残留日本人の問題もある。

:残留日本人の問題も同じことだ。日本メディアの報道も悪い。同じ日本国民を愚弄しているかのようだ。日朝関係をわざと支障を来すようかのように報道している。問題が動き始めると横やりが入る。日朝関係が好くなると困る人がいるのだろうか。



  • 曺勝喜教授

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