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北朝鮮の宇宙技術開発の現状は

ニュースリリース|北朝鮮 Live!|トピックス| 2017年09月23日(土)

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 相次ぐミサイル発射で、北朝鮮がロケットなど宇宙関連技術の向上が図られていることが周知の事実になってきた。では、北朝鮮ではこの分野に関連する組織が技術者など、どのような状況なのか。

 北朝鮮では2016年4月30日に「朝鮮宇宙協会」が創設されて以降、宇宙の平和的な開発と利用における化学研究が行われている。同協会の同協会のリ・ウォンチョル委員長(58)は、「わずか1年超の間に多くの成果が生み出されている」と胸を張る。リ委員長は金策工業総合大学副総長であり、功勲科学者、教授、博士でもある。

―朝鮮宇宙協会とはどのような組織か。

:金日成総合大学と金策工業総合大学など国内数十カ所の宇宙科学技術に関する機関の科学者や技術者、教員、研究士らで、朝鮮宇宙協会は構成されている。メンバー間の学術交流を促進し、国の宇宙科学技術を発展させるための機関だ。

また、世界各国の宇宙関連団体や国際機関とは同分野での科学技術協力・交流を行っており、宇宙の平和的開発と利用に貢献するというわが協会の使命果たすために努力している。

わが協会の中には、人工地球衛星分科や宇宙材料・要素分科、基礎科学分科、応用技術分科、社会科学分科を設置している。

―協会では現在、具体的にどのような事業が進められているのか。

:協会の主な事業は、宇宙科学技術討論会の開催だ。この討論会では、分科別に小論文が発表され、審査が行われる。2016年に初めて「宇宙科学技術討論会2016」を開催し、宇宙科学技術の発展をリードし、宇宙開発における主体化を実現できる200ほどの優秀な論文が提出された。

2017年6月に行われた朝鮮宇宙協会第3回委員会では、「宇宙科学技術討論会2017」の具体的な開催内容を発表し、討論会を成果をもって行うためにどうしたらよいかを議論した。今回、「自力自彊と朝鮮の宇宙開発」というテーマを設定し、宇宙開発に必要な原料と燃料、設備を主体化するために役に立った科学技術の成果をどう普及・一般化させられるかを真剣に議論することになるだろう。

―朝鮮労働党の金正恩・党委員長は16年の朝鮮労働党第7回大会で、宇宙科学技術をより発展させ、先端技術の集合体である実用衛星をより多く制作・発射するべきと示した。同協会から、この宇宙科学技術の発展をどのように考えているか。

:1998年の「光明星1」号から16年2月の「光明星4」号の発射まで、北朝鮮における人工地球衛星を製造でき、かつ発射できる国としての地位をしっかりと固めている。宇宙開発のための土台が構築されており、さらなる宇宙への進出を図ることは北朝鮮の未来の科学技術・経済発展のエンジンとなり、これこそ北朝鮮の共和国の戦略的目標だ。

たとえば、宇宙科学技術を地質探査の分野に適用すれば、資源問題を自主的に解決できる。農業や水産業、林業、気象、災害防止など多くの分野でも衛星遠隔操作技術を応用できることになる。

宇宙への進出を実現する過程で、人工地球衛星を運搬するためのエンジンと操縦技術、衛星管理航法や操縦、通信技術分野において飛躍的な発展をもたらすことができる。これにより機械製造工業や自動化工業、金属・電子材料工業、情報産業など、多くの分野の科学技術が先端レベルへと発展させることができ、ひいては人民経済全般をより早く先端科学技術で向上させることができる。

―北朝鮮では、宇宙の平和的開発利用面でどのように考えているか。

:北朝鮮はこのために国際法を徹底して遵守するし、かつ遵守してきた。2009年3月5日「月及びその他天体をはじめ、宇宙の開発及び利用分野において国家の活動を調整する原則に関する条約」に加入し、さらに同年3月10日には「宇宙空間へ打ち上げる物体の登録と関連する協約」に、16年2月22日「宇宙飛行士救助と帰還及び宇宙物体返還に関する協定」と「宇宙物体による被害に対する国際的責任に関する協約」に加入している。これにより、宇宙関連5条約のうち、月協定を除いたすべての条約に加盟した。

北朝鮮が打ち上げた「光明星1」号から「光明星4」号にいたる人工地球衛星はすべて地球観測や通信保障など宇宙の平和的利用を目的にしている。米国など北朝鮮と敵対する国からは、北朝鮮の平和的な宇宙開発を「ミサイル試験」として呼び、国際法違反だと反対している。

宇宙条約第4条には「科学探求及びその他平和的目的のために軍事人員を利用することは禁止されない。月及びその他天体の平和的開発のために必要な装備や施設を利用することは禁止されていない」と規定されている。宇宙の開発と利用で先次的な問題となる人工衛星を発射するためにロケット技術に基づいた必要な装備を利用することは常識だ。

米国なども北朝鮮の人工衛星打ち上げが宇宙関連条約に違反していないことを知っているのだろう。だから国際法によるものではなく、彼らが捏造した国連安全保障理事会決議に基づいて「制裁」を実施しているのだ。主権国家の合法的権利として、北朝鮮の宇宙開発は反対されても放棄する事業ではない。

北朝鮮はすでに宇宙科学技術分野でめざましい成果を上げ、主体化された実用衛星も発射している。静止衛星を搭載できる運搬ロケット用大出力エンジンの地上噴出試験にも成功しており、北朝鮮は国家宇宙開発5カ年計画において静止衛星運搬ロケットを開発・完成できる確実な科学技術力を持っている。今後も、朝鮮宇宙協会は北朝鮮を宇宙強国にするための努力を怠らない。

国家宇宙開発局への外国訪朝団の視察も

以上が、リ・ウォンチョル委員長とのインタビューだが、北朝鮮当局も宇宙関連分野については、外国の目を意識しているようだ。今年8月、平壌を訪問した日本などの団体メンバーに対し、北朝鮮当局は国家宇宙開発局(NADA)への視察を案内している。

ある訪問者によれば、NADAの視察は「外国人へのわかりやすいPRといった内容」と紹介する。視察ではまず、1998年からの人工衛星開発の歴史や金正恩党委員長の指導の下、宇宙開発を協力に進めていること、そして若い技術者・研究陣が今後の開発を担っていくこと、さらに、宇宙平和利用の権利を否定する、米国主導による国連制裁がどれだけ不当なものかと主張したようだ。

また、若い技術者が人工衛星の目的について発表し、気象観測や農業生産などの平和利用に資するためのものであることを強調したという。



  • 光明星3号2号機

  • 衛星管制総合指揮所

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