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「自力自彊」が経済の現場ではどう反映されているか

ニュースリリース|北朝鮮 Live!| 2017年02月12日(日)

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 2017年1月1日に発表された新年の辞には、北朝鮮の国民にとっては今年の理想を実現するためにどうすべきかを示すもの。特に今年は、「国家経済発展5カ年戦略」をきちんと遂行すべきとの方針が、金正恩党委員長から示された。
 
 その中でも、「国家経済発展5カ年戦略」を実現するために「自力自彊」というスローガンが打ち出された。特に、科学技術を重視しており、徹底して科学技術による自力自彊を繰り広げるように、金党委員長は強調した。
 
 国際的な経済制裁が実施されている中で経済発展を実現しなければならないという、最悪の状況にある北朝鮮には、結局、原料と燃料、設備といった経済資源の国産化を目指さざるをえない。ここでは、国産化に焦点を絞って、北朝鮮国内のいくつかの工場や企業所の動きを紹介してみる。

生産設備の国産化比率は95%以上
 
 最近竣工した平壌かばん工場は、設備の国産化比率が95%以上を保障する、代表的な工場だ。同工場の朴鉄竣(パク・チョルチュン、40)技師長は、設備だけでなく生産に必要な資材も国産化されていることを強調する。1月5日には、金党委員長が同工場を現地指導している。
 
朴技士長は、新年の辞に打ち出された方針が、工場の生産活動においてどう反映されているのかという質問に対し、「科学技術を優先する自力自彊を貫徹すること」と述べた。特に、「平壌かばん工場は設備の国産化が95%以上であることを維持している。また生産に必要な原料と資材も国産のものだ。いわば、科学技術による原料と資材の国産化がきちんと補償されていると断言できる」と自身を見せる。
 
 平壌かばん工場では現在、学生向けと一般向けのかばんを生産している。かばんの生産量は1日当たり800~1000個であり、年間生産量は30万2000個。製品の種類は210種を超えるが、学生向けかばんの場合、小学校児童向け3種(大・中・小)、初級学校生徒向け3種(同)、高級中学生徒向け2種(大・小)、大学生向け3種(大・中・小)の11種を生産しており、それぞれ男子・女子学生用が用意されている。
 
 また、かばん生産に必要なかばん地と裏地は金正淑平壌紡績工場で生産されており、ファスナーは万景台革命史跡記念品工場で生産されている。この通り、かばん生産に必要な基本的な原資材は国産化されており、工場は稼働初日から計画を十分に達成している。今年3月までには、小学校新入生のかばん生産を終えることが当面の目標だ。
 
 今年の新年の辞では、軽工業部門で製品の多種・多様化や質の向上が強調された。平壌かばん工場では、かばん生産の多種化・多様化や多色化を拡充するためにデザイン力の向上と技術革新に注力しながら100%国産のかばんを生産、人気商品となるように注力している。

10月までの年間計画達成を目指す工場も
 
 平壌かばん工場と同様、原料や燃料、設備の国産化に注力するのが、金正淑平壌製糸工場だ。この工場はすでに原料の国産化を実現した工場として、最近は寧辺絹織物工場などで生産された絹地と絹織物綿で布団を製造する布団生産工程をも新たに設置した。
 
 工場の生産責任部員である尹成真(ユン・ソンジン、男、44)氏によれば、金正淑平壌製糸工場でも、新年の辞で発表された方針を受けて立案された年間計画が実施されている。尹氏は、年初から生産計画を超過して生産していると前置きし、「輸入に頼ることなく、国産の原料と資材で生産している工場の生産環境に合わせながら工場の現代化と生産正常化のために技術革新に注力している」と自信を見せた。
 
 特に尹氏は、故・金日成主席の誕生月であり、国家的祝日となる4月15日(太陽節)までには、年間計画の上半期ぶんの目標を達成し、年間計画目標を朝鮮労働党の創建記念日である10月10日までに前倒しで達成させるという。
 
 一方、金属工業省のパク・チョンクォン局長(59)は、「新年の辞を受けて、前年から実施している金属鉱業の主体化・現代化のために努力する」と言う。パク局長は、すでに昨年から、黄海製鉄所連合企業所では厚板圧延加熱炉に高温空気燃焼技術を導入し、数万トンの生産能力がある無煙炭選炭技術工程を確立、すでに本格稼働に入っているという。

金属、鉄道など主要経済分野でも自力自彊
 
 また、金策製鉄連合企業所では年間数万トンの生産能力を持つ無煙豆炭生産工程を、そして千里馬製鋼連合企業所でも高い能力を持つ酸素分離機を設置し、生産の正常化に注力していると説明する。
 
 さらにパク局長は今年、金策製鉄所連合企業所の酸素熱法溶鉱炉と黄海製鉄所連合企業所の酸素電炉建設を急ぐ予定だと打ち明ける。これにより主体化された生産工程を建設、生産正常化を急ぐことで銑鉄や圧延鋼材などの鉄鋼生産を拡充させる予定と言う。
 
 北朝鮮では主要産業とされる鉄道輸送分野でも、電力をはじめとする鉄道運行における環境が改善、今年はさらなる輸送拡大を目指すと、平壌鉄道局西平壌機関車隊のチョ・ヒョン参謀長(44)は意欲を見せる。そのためにも、輸送指揮の円滑な運営と機関車修理を併行させるなど、機関車の稼働率をさらに高めることが必要だと説明する。「昨年実施された(経済面での大衆動員運動である)70日戦闘と200日戦闘でも輸送量計画を超過達成した。経済発展5カ年戦略に沿った計画を必ず達成できるようにしたい」と言う。
 



  • 平壌かばん工場の製品

  • 平壌かばん工場の朴鉄俊技士長

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