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【北朝鮮 Live!】日朝平壌宣言から14周年、北朝鮮はどう見ているか

ニュースリリース|北朝鮮 Live!| 2016年09月18日(日)

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 日本と北朝鮮は地理的に見ても近い国だ。しかし、植民地時代から国交も回復せず、近くても遠い国になった。両国ともに敵対的感情を捨てることができていない。2002年9月17日に初の日朝首脳会談が行われ、その結果として「日朝平壌宣言」が発表された。それから14年、日朝平壌宣言後の北朝鮮は、日本をどう見ているのか。北朝鮮内でも屈指の日本通として知られる社会科学院歴史研究所研究師である曺喜勝(チョ・ヒスン)教授に話を聞いた。

―朝日平壌宣言が発表されてから14年という歳月が流れた。曺先生の今の心情をお聞きしたい。

曺:朝日平壌宣言を驚きの気持ちで接した日が、まるで昨日の出来事のように思い出す。2002年9月17日午後8時、私は平壌の羊角島ホテル1階の食堂で日本高句麗会会長一行とNHKの撮影団とともに、テレビで歴史的な朝日平壌宣言が発表されるという歴史的なシーンを目撃した。

 朝日平壌宣言が採択されたことで、両国間の政治・経済・文化など凍結されていた多くの分野において、協力と協調の明るい展望が開くようになるだろうと考えた。

 両国人民が両国関係の明るい未来を期待する中で接した平壌宣言が、その後、徐々に冷え込んでいくことになるとは本当に考えもしなかった。

―その原因はどこにあると思うか。

曺:両国の関係改善を望まない米国の圧力と、それに便乗して朝日関係を自らの政治的野心に悪用しようとする反北朝鮮敵対勢力の策動意外に、こうなることはできないと考える。

 反北朝鮮敵対勢力は平壌宣言の破綻は、北朝鮮側が拉致問題をきちんと解決できないためと主張し、同時にその真実を覆い隠そうとしている。

―その結果、どのような影響をもたらしたか。

 1945年に日本が敗戦を迎え、北部朝鮮を通じて帰国しようとする日本人避難民のなかに大量の死亡者が発生した。彼らの遺骨は、墓も置かれないままそのまま放置されている。死亡者は軍隊と軍属、合わせて3万体に達する。北朝鮮政府は社会科学院歴史研究所で働いていた私にこれに対する調査を命じ、3年間の調査結果、基本的に確認できた。2014年5月26日から28日まで、スウェーデンのストックホルムで日朝政府間会合が行われた。

 会談で「双方は朝日平壌宣言にしたがって不幸な過去を清算し、懸案の問題を解決し、国交正常化を実現するために真摯に協議を進める」とし、日本側は「1945年を前後して、共和国領内で死亡した日本軍の遺骨問題と残留日本人、日本人配偶者、拉致被害者および行方不明者を含むすべての日本人に対する調査をわれわれ側(北朝鮮側)要請」したことに基づき、朝鮮側が「日本人の遺骨および墓地と残留日本人、日本人配偶者、拉致被害者および行方不明者を含むすべての日本人に対する包括的な調査を全面的に同時並行して進める」ことにした。

 このため、北朝鮮は「特別調査委員会」を発足させ、日本外務省の伊原純一アジア大洋州局長を団長とする日本政府代表団が平壌を訪問、特別調査委員会も訪れた。特別調査委員会での会談は当時、ストックホルム会談の内容にしたがって拉致問題や残留日本人問題、日本人の遺骨問題などが包括的に通報され、討議された。

 ところが、日本側ではこの会談内容全般について言及する代わりに、拉致問題だけを報道し、日本人遺骨問題など拉致問題以外の問題はまったく言及しなかった。日本人遺骨問題のような問題は一言一句も触れなかった。

 日本人の遺骨問題は日本自身の問題だ。日本政府が70年間、異郷の山野に放置されていたものをわれわれが探しだし、遺骨などを血縁がある祖国に戻すように親切にも勧めたにもかかわらず、「朝鮮に対する良い印象を国民にもたらしては良くない」という立場で無視する日本政府の行動に、われわれはあきれるほかない。

 遺族らはすでにみんな高齢を迎えている。日本が負けてから70年経つなか、当時1歳だった子どもでも70歳になった。当時10歳だった彼らの家族は80歳になる。労苦をいとわず訪れた日本全国清津会のメンバーは言うまでもなく、当時中学生だった家族も80代だ。

 日本人遺骨問題に対して言えば、いま日本では報道されていることをまとめると、日本側は日本人遺骨問題を解決する意志と準備ができているが、北朝鮮から一方的に特別調査委員会を解散させたという世論が出回っている。重要なのは、朝鮮はカネがほしいために遺骨問題を取りあげていると主張するなど、北朝鮮側を冒涜していることだ。盗っ人たけだけしいという言葉がある。日本人遺骨1体当たりいくらという感じの世論を形成させるのが誰なのか。いまになって北朝鮮が遺骨を売るためにこの問題を出しているという世論形成を緒なっている日本の本音は、稚拙だというほかない。朝鮮側からは、一度たりとも遺骨と関連したカネの話はしたことがない。

 特別調査委員会が解散したことは、安倍政権がわれわれの正当な衛星発射を持ち出して、再び「制裁」を強行したためだ。それに対応し、朝鮮が執った措置だ。なぜ特別委員会を解散しなければならなかったのかについては、すでに北朝鮮側の声明ではっきりと指摘している。

―日本と北朝鮮との関係は再び回復されるだろうか。

 それは全面的に日本政府にかかっていると思う。日本は過去、朝鮮人だけでなくアジア人民に与えた傷あとを拭うため、損害賠償から行うべきだ。日本がいま常任理事国進出を狙って国際社会の支持を得ようと努力しているが、過去の清算なくして常任理事国進出を夢見ることは、世界人民に対する欺瞞であり愚弄である。北朝鮮人民に与えた被害補償を徹底して行い、朝鮮に対する敵対視政策を捨ててこそ、朝鮮と日本の親善的つながりが続く。

 さらには、朝日平壌宣言が発表された際、日本から参加した歴史の証言者の一人だった日本の執権者は、14年前の原点に戻って朝日平壌宣言についてもう一度吟味し、その履行のための道に戻ることが正しいことだと思う。朝日平壌宣言が発表されて14年となる今日まで宣言が履行されていないという非正常的な自体は不幸なことで有り、アジアの安定と平和に否定的な影響を与えるようになることを日本政府はしっかりと認識すべきだろう。



  • 曺喜勝教授。曺教授は日本人の遺骨問題など日本と関わる人道問題の調査を行ってきた。

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